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Black Face Sheep's Photolog

黒顔羊のデジタルフォトギャラリー#1です。光蜥蜴(ヒカリトカゲ=光と影)や錆びたもの・滅びゆくものが大好きです。 自分の魂の目に感光したものは何でも撮ります。


by blackfacesheep

2008年12月26日 "Blue Dress" - 和製ズミクロン Ricoh XR Rikenon 50mm F2

2008年12月26日 \"Blue Dress\" - 和製ズミクロン Ricoh XR Rikenon 50mm F2_b0134829_2181786.jpg


オークションで2,700円で落札した和製ズミクロン、"Ricoh XR Rikenon 50mm F2"の試写のために、犬山の「リトル・ワールド」に行ってきました。

これは、売店にあったチャイナ・ドレスです。Exif情報が残らないオールドMFレンズのために、絞りの撮影データがわからないのですが、おそらくF2.8で撮ったと思います。開放から1段絞ったところですが、なかなかにシャープではないでしょうか。

なお、より大きな写真を見て見たい方は、Flickrでの写真を御覧ください。(写真をクリックして、一枚単位の画面になったら、写真上部の"All Sizes"をクリックしてください。1200 x 800のサイズになります。)


2008年12月26日 \"Blue Dress\" - 和製ズミクロン Ricoh XR Rikenon 50mm F2_b0134829_21315054.jpgこのRicoh XR Rikenon 50mm F2は、通称「サンキュッパ(39,800円)」と呼ばれた価格破壊一眼レフ、RICOH XR500の標準レンズでした。

XR Rikenon 50mm F2自体も、定価9,000円という非常に安価なレンズでしたが、その描写は素晴らしく、神クラス・レンズのひとつとして認知されていました。
なにしろ、かつてある写真雑誌で、「中心部の解像度はズミクロン50mmF2を超えている」と評価されたこともあるんだそうです。ほんとかいな。^^
コントラストが高くて解像度もカリカリのレンズなので、このレンズで撮影すると「ぱきーん!」と音がする、という都市伝説もあります。^^
いつの間にか、「和製ズミクロン」とか、「貧乏人の神レンズ」と呼ばれはじめ、中古レンズとしては異様に人気の高いレンズとなってしまいました。

このレンズ、大雑把に分けると、前期型と後期型に分けられるようで、どちらも素晴らしい描写なのですが、強いて言えば前期型のほうが、「神がかり度が高い」という世評になっているようです。

前期型と後期型の識別ポイントは下記のとおりです。
・前期モデルは金属鏡胴、最短撮影距離は0.45m、絞りリングに50mmの表示あり。
・後期モデルはプラスチック鏡胴、最短撮影距離は0.6m、絞りリングに50mmの表示なし。

これらの特徴を把握して、前期型をオークションでビッドしたのは言うまでもありません。^^


昨日の午後に到着したので、とりあえず撮ってみたのが、昨日の作品「硬調なシクラメン」です。
確かにキレの良いシャープな描画で、「なるほど、これが和製ズミクロンか・・・これで2,700円なら、この勝負、勝ったな・・・」と思わずうなってしまいました。

本日はもう少しディープに試写してみました。(リサイズ以外、ノー・レタッチです。)
まず、絞り開放での画像を下記に2枚アップしておきます。絞り開放でもF2ですから、さほど大きなボケにはなりませんが、嫌味のないボケ味のように思います。
左側のシクラメン、ピントの合っているところはとてもシャープで、開放から十分使い物になる画質のようです。
また、右側を見ると、開放での玉ボケは周辺部に行くほど真円ではなく、いびつな形になるようです。
2008年12月26日 \"Blue Dress\" - 和製ズミクロン Ricoh XR Rikenon 50mm F2_b0134829_2233287.jpg2008年12月26日 \"Blue Dress\" - 和製ズミクロン Ricoh XR Rikenon 50mm F2_b0134829_22443.jpg



次に、F4程度の中間絞りの画像をアップしておきます。基本的に素直なボケで、すーっと綺麗にボケていきます。
右側のハイライトの玉ボケ、6枚の絞り羽の形になっており、最近の9枚羽根のボケを見慣れた目には少々つらいものがあります。
逆光耐性は、現代のレンズに比べるとかなり落ちるようで、強い光に向けるとフレアが出やすい傾向がありました。
2008年12月26日 \"Blue Dress\" - 和製ズミクロン Ricoh XR Rikenon 50mm F2_b0134829_2281253.jpg2008年12月26日 \"Blue Dress\" - 和製ズミクロン Ricoh XR Rikenon 50mm F2_b0134829_2284727.jpg



コントラスト、および質感描写はこんな感じです。
硬質な描写で、コントラストはしっかりあるほうです。なだらかなトーンを期待しても無理なレンズです。
でも、中間調がぶっ飛んでしまうほどひどいものではないようです。これらなら十分ポートレートもいけそうな感じです。
また、解像度の良いレンズは「丸いものが丸く立体的に写る」とよく言われますが、そこそこOKではないでしょうか。
2008年12月26日 \"Blue Dress\" - 和製ズミクロン Ricoh XR Rikenon 50mm F2_b0134829_22151494.jpg2008年12月26日 \"Blue Dress\" - 和製ズミクロン Ricoh XR Rikenon 50mm F2_b0134829_22154528.jpg



結論からすると、和製ズミクロンと言われるだけあって、痛快にシャープに写ります。
かと言ってカリンカリンで使えないほどではありません。柔らかさもそこそこあって、バランスの良いレンズだと思います。

ボケも、基本的に素直なボケなので使いやすいと思います。ただ、ボケ玉の形は絞ったときに六角形なので、あまり美しくはありません。
クリスマス・シーズンにイルミネーションを玉ボケで撮る時には良いかもしれません。^^

ただ、かつては「和製ズミクロン」や「神クラス・認定レンズ」であったとしても、現代のレンズにはかなわないと思います。
逆光耐性や発色、グラデーションの豊富さなどは、先日入手したモダンなCarl Zeiss Planar T* 1.4/50に比べると、かなり可愛そうな感じです。はははは、当たり前か。^^

でも、2,700円という値段を考えれば、抜群のコスト・パフォーマンスを持つレンズと言って間違いないと思います。
このレンズならではのメリハリの効いた硬質な画質、結構気に入ってしまいました。

Pentax K200D
Ricoh XR Rikenon 50mm F2
by blackfacesheep | 2008-12-26 23:21 | Hardware