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2011年2月9日 漢なら、ばけぺん!
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私のフィルム写真の正妻カメラ、ばけぺんであります。
「化物みたいにでかいペンタックス」なので「ばけぺん」と呼ばれていますが、120判フィルム(通称ブローニーフィルム)を使って、ロクナナ(56mmx69mm)サイズの写真が撮れる豪快なカメラです。
その特徴は・・・「でかい、重い、荒々しい」です。^^;
隣に置いたコンデジのリコーGX200が玩具に見えてしまうほどの大きさ、ひたすら強面で、凶器と紙一重の禍々しい雰囲気を湛えたカメラです。

b0134829_11433977.jpg同じ中判カメラでも、ハッセルブラードやローライフレックスのように機械としての緻密な魅力に溢れているわけでもなく、ひたすら無愛想で実用のみを考えて作られたストイックなカメラですね。

当然ながらブランド品として憧れの対象になるものでもありません。
「いつかはハッセル」とか、「憧れのローライ」という言葉はあっても、ばけぺんにはそんな洗練されたイメージは微塵もなく、上品なフランス料理とがっつり食べるカツ丼ぐらいの違いがあります。

中古カメラ屋さんでも、若いお洒落なオネエサンがハッセルを手にとって眺めていることはあっても、ばけぺんを愛でている姿は見たことがないですね。^^;

まあ自動車で例えるなら、ハッセルやローライはポルシェかBMW、ばけぺんは質実剛健なJeep・・・馬ならサラブレッドと農耕馬の違いでしょうか。^^;

ばけぺんは、その大きさにもかかわらず、フォーカル・プレーン・シャッターを採用しており、最高シャッタースピードは1/1000秒です。

レンズシャッターのハッセルやローライは1/500まで・・・
絞一段分違いますから、ばけぺんは日中に絞りを大きく開けて中判らしい大ボケ写真を撮るのに向いています。

しかしながら、56mmx69mmもの撮像サイズでフォーカル・プレーン・シャッターを作動させるわけですから、経年変化もそれなりに発生するようです。

実は私が最初に手に入れたばけぺん(下の写真の右側)、ここのところ10コマに1コマから2コマ、未露光になることが常態となってしまいました。



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今年は異例に寒いので、どうやらオイルの潤滑がうまくいっておらず、フォーカル・プレーン・シャッターの先幕が遅くなっているか、後幕が早く走りすぎているかで、うまく同調せずに未露光になってしまったようです。
昨年も2月から4月初旬にかけて数回発生しましたが、その後の暖かい季節には発生しなくなりました。
だましながら使う手もありますが、やはり写したつもりで写っていないというのは、精神衛生上よろしくないです・・・
そんなわけで先日、某オークションサイトにて、もう一台ばけぺんのボディを落札しました。(上の写真の左側)
どちらもニックネームは「ばけぺん」ですが、正式名称は、右の古いタイプが"Asahi Pentax 6x7"、左の新しいタイプは"Pentax 67"です。

b0134829_11441043.jpgさすが農耕馬ですから、お値段もこなれていて、レンズなし・アイレベル・ファインダー付きを13,500円にて落札しました・・・コンデジより安いです。

しかも今回の個体は、以前から使っていた個体よりかなり新しいです。
ばけぺんの第1世代は、1969年から1998年まで約30年間に渡って作り続けられたロング・セラーで、1998年に第2世代のAEばけぺん、"Pentax 67II"にモデルチェンジしました。
同じように見える第1世代のばけぺんですが、外見的な特徴から3つの時代区分に分けることができます。

最初期モデルは1969年に発売されたもので、ファインダーのロゴが"Asahi Pentax"でAOCOマーク付き、モデル名は"6x7"、そしてミラー・アップが付いていません。
私がずっと使い続けてきた個体はこの世代のものですから、40年近く前の誕生と思われます。

中間期モデルは1976年に発売されたもので、ロゴやモデル名に関しては最初期モデルと同様ですが、このモデルから、本体前から見て左側レンズマウントの横にミラーアップ用ボタンが付きました。

最終モデルは1989年に登場しました。会社のロゴが"Pentax"に変更され、モデル名も"67"に変更になってAOCOマークもなくなり、それまでの21と10という撮影枚数カウンター切り替えから、よりわかりやすい120と220に表示が変わりました。
私が今回落札したモデルは、この世代のものですから20年ほど前に製造されたものと思われます。

早速、右の写真のように旧タイプのTTLプリズムファインダーを新タイプのばけぺんに載せ代えて試写してみましたが、なんの問題もなく10コマ無事に写っていました。



しかし、ばけぺんは実に楽しいカメラですね。
6x7というフォーマット、初めて見たときははアスペクト比が低くて寸詰まりに思えるかもしれませんが、慣れると落ち着きがあって安定感を感じられるようになってくるフォーマットです。
4:3ならコンデジやフォーサーズ、645が同じ、3:2なら6x9や135判が同じ、また6x6の真四角もコンデジで取れる物もありますが、6x7というフォーマットはロクナナでしか撮れません。

また、被写界深度が浅いので、絞りを開けて撮った写真はめっぽう立体感があります。絞り込んでもその肌理の細かさや階調の豊かさは、135判とは比較になりません。
それゆえ、ばけぺんで撮った写真は他のカメラで撮った写真とは存在感が違うような気がします。
私が所有した初代ばけぺんで撮った写真はこちら、この二代目ばけぺんで撮った写真はこちらにあります。

こんな化物を使っていると、「デジタルはAPS-Cでいいや、ラージフォーマットならばけぺんがあるから・・・」と思ってしまいます。
フルサイズ・デジタルへの誘惑が少なくなって、懐に優しくて良いですね~♪

また、撮影しているときの充実感もばけぺんは素晴らしいですね。
図体のでかさ、重たさも快感ですが、シャッターを切ったときの音とショックが荒々しいと言うか豪快というか・・・^^;
「ばしゃこ~~ん」もしくは「ばっちょ~~ん」と言うとけたたましい音が響き、フォーカルプレーンが「ぐいっ」と走る慣性モーメントを手に感じます。
巨大なミラーもクイックリターンですから、上下する時の衝撃も大きい・・・・全てを力技でねじふせなければならない「漢のカメラ」なんですね。

このばけぺんならではのフィーリング、私が所有している他の中判カメラとはまるで違います・・・
"Mamiya RB67"は「ばふぉっ。」と言う牧歌的なシャッター音ですし、ソ連製の"Arsenal Kiev88C"のシャッター音も「ぼしゅ~~」という脱力系です。
"Pentax 645"はオートワインダー付ですから、「ばしゃじゃ~~」と、フィルムを巻き上げる音のほうが目立つくらい、マミロクこと"Mamiya-6 IV B"にいたってはレンズシャッターですから、「ちゃ。」とひそやかに鳴るだけ・・・頼りないことおびただしいものがあります。^^;

「おーし、写真を撮ったど~♪」という満足感を一番与えてくれるのは、やっぱりばけぺんですね~。^^
写真を一枚を撮るまでの精神集中、シャッターを押したときのカタルシス、ちゃらいカメラでは味わえません。
寒い荒野に一人たたずみ、狙った被写体をしとめる・・・それも連射の効く自動小銃をあえて使わず、ボルトアクション・ライフルに強装弾を装填し一発必中を狙う孤独なスナイパー・・・とことんハードボイルドなんであります。^^
やっぱり「オトコは黙ってばけぺん!」なんであります。

あ、とは言うものの、可憐な女性がばけぺんで撮っているのを見るのも好きですよ、男装の麗人を見るようで実にかっちょええですから。^^v

またフォーマットが大きいカメラは好きですが、大判に逝こうとは思いません・・・原則手持ち撮影派ですから、三脚がないと写真の撮れないカメラは、やなんですね。
ばけぺんはそのミラーショック・シャッターショックは大きいんですが、重さが効いているせいか、意外に手ぶれしないカメラです。
90mmの標準レンズなら、1/15でも写し止めることができます。^^v

それにしても・・・ばけぺんを撮っていて、K-5のダイナミックレンジの広さにも改めて感心しましたね。
以前、ばけぺんを撮ったときにはK200Dのダイナミックレンジでは写しきれないので、Ilfod XP2 Super 400で撮りましたが、K-5は難なくこの黒くて不気味な雰囲気を映し出してくれました。^^v

愛知県みよし市三好ヶ丘にて
Pentax K-5
Tamron SP AF 17-50mm/F2.8 (Model A16)
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by blackfacesheep | 2011-02-09 14:45 | Hardware
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