2011年8月27日 伝統と革新の聖ニコライ教会
2011年 08月 27日
スターバックスを出てマルクト広場に向かう途中に、聖ニコライ教会がそびえています。
この教会は1165年に創建されたライプツィヒ最古の教会で、ライプツィヒ市の音楽監督であったヨハン・セバスチャン・バッハの「ヨハネ受難曲」が初演された教会でもあります。
この教会は商業の守護聖人である聖ニコラウスに捧げられ、商業都市ライプツィヒの象徴として市民から手厚い保護を受け、市の興隆を反映する各時代の装飾が施されてきました。
内部にはドイツの教会とは思えないようなシュロの木をかたどった列柱が並んでおりエキゾチックです。
またここのパイプオルガンは5段鍵盤を持つドイツ有数の大きさを誇るものだそうです。
この聖ニコライ教会は現代史の中でも重要な役割をしました。
東ドイツの反体制団体が、1982年9月から毎週月曜日にこの教会で行われる「平和の祈り」の後、市内をデモ行進するようになりました。
はじめは数百人規模だったが次第に大きくなり、1989年10月9日には7万人が参加し、市民は「我々は人民だ!」とシュプレヒコールをあげながら行進し、人民を保護する建前の軍や警察を牽制しました。
当時の東独のナンバーワン、エーリッヒ・ホーネッカーは弾圧の方針でしたが、党のライプツィヒ県本部は住民に対話を呼びかけ、デモは平穏のうちに終了・・・その9日後、ホーネッカーは失脚しました。
そんないきさつから、この聖ニコライ教会はドイツの東西統一のきっかけとなった場所として有名になり、ライプツィヒは「英雄都市」と呼ばれるようになったんだそうです。
教会の中には、共産主義政府に弾圧された人々や月曜デモに参加した市民の写真が展示されています。
英雄的な人は誰もおらず、ごく普通の市民ばかり・・・ドイツの再統一は民衆の力でなしとげられたことがよくわかります。
長い歴史に彩られた聖ニコライ教会、一般的な観光コースではないので訪れる人もそんなに多くはありませんが、落ち着いた佇まいの素敵な空気が流れていました。
Nikolaikirche, Leipzig, Germany
Pentax K-5
Tamron SP AF 17-50mm/F2.8 (Model A16)