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2014年1月28日 マイクロフォーサーズはフルサイズの夢を見るか?
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冬の光を浴びた椿を愛でるテディベアさん・・・横長の構図ですね。
これは3:2のアスペクト比のフレームですが、こういう大きなボケを伴う写真を撮るために必要な撮影機材は何でしょうか・・・

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こちらは縦長構図のボケ写真ですが、やはり3:2のアスペクト比です。
3:2・・・APS-Cもしくは135判フルフレームのカメラを使ったのかな、と思われる方も多いと思います。
でもこれ、実はマイクロフォーサーズ機のOlympus Pen mini E-PM2にM.ZUIKO 45mm/F1.8を付けて撮った写真です。

Pen mini E-PM2はミラーレスなので、写真のアスペクト比はデフォルトの4:3だけでなく、1:1の真四角、3:2、16:9にも切り替えられます。
どんなカメラでも、ポストプロセスの際にトリミングすれば、写真のアスペクト比は変えられます。
でも撮影時に、ファインダーを覗きながらそのアスペクト比でのフレーミングができるかどうか・・・これが大問題なんであります。
光学ファインダー系のカメラはNGですが、ミラーレス系なら簡単にフレームを切り替えられ、コーナーを意識したデッドな構図で撮影可能です。

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Pen mini E-PM2、ぱっと見はコンデジっぽくてちゃらいカメラですが、写し方によっては135判フルサイズ機っぽい写真も撮れます。^^
上の3枚、すべて45㎜/F1.8を絞開放F1.8で撮っています。

さて、レンズの「有効径」、と言う言葉があります。
「レンズのボケがどのぐらいの大きさになるか?」を判断するための物差しで、「焦点距離÷開放F値」で計算し、数値が大きいほどボケます。
例えばこの45㎜/F1.8絞開放だと、45÷1.8=25、つまり有効径は「25」ということになります。
私の経験では、有効径が15を超えると、ボケを使った写真が撮りやすくなると感じます。

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さて、この45㎜での有効径「25」、135判フルフレーム機に当てはめると、どうなるか・・・
マイクロフォーサーズ機の焦点距離を2倍にすると、135判機での同画角のレンズになりますので、90㎜レンズで比較することになります。
つまり、90mmで有効径25にするためには、90÷25=3.6、つまりF3.6で同じ有効径になり、同じボケが得られる計算になります。
例えば90mmのタムキュー、F2.8の絞開放なら、この45mm/F1.8の絞開放よりボケは大きいですが、F4以上に絞るとボケは小さくなります。

有効径の理論を裏付けるために実験してみたのがこの写真です。
フルフレーム用の90㎜を持っていないので、AF-S Nikkor 85mm/F1.8GをD600に装着し、F4.5まで絞って撮ってみました。
85÷4.5なので、有効径は18.9です・・・うむ~、確かに有効径25のPen miniの45㎜/F1.8よりボケが小さいですね。
画角が90㎜相当と85㎜なので、若干写る範囲が違いますが、そのボケの雰囲気はご理解いただけると思います。

さて、何が言いたいか、と言うと・・・
フルフレーム機と言っても、暗いズームなんか使ったら、明るい単焦点を付けたPen miniより小さなボケしか撮れませんぜ、ってことです。^^;

Nikon D600のレンズキットのズームレンズは、AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VRです。
このズームレンズ、暗いです・・・望遠端の85㎜の開放F値はF4.5です・・・
つまり、有効径はまさしく上の写真のように18.9ですから、有効径25のPenの45㎜/F1.8にボケの大きさで負ける、ということになります。^^;

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それでは、今度は広角域で実験してみましょう。
この上下の2枚の写真、マイクロフォーサーズ機のPen miniとフルフレーム機のD600で撮ったものです。
Pen miniには20㎜/F1.7を付けて絞開放で撮り、D600にはタムロンA09を40㎜にズームし、F4まで絞って撮りました。
その理由は、上記のAF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR、焦点距離40㎜での開放F値はF4だからですね。

レンズの焦点距離は、Pen miniが40㎜相当(m4/3で20mm)、D600は40㎜で撮っていますので同じです。
有効径はPenが20/1.7=11.7、D600が40/4=10、ややPenが大きいですが、ほぼ同等です。
さて、どちらの写真がどちらで撮ったものか、お分かりになりますか?

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正解は・・・上がフルサイズのD600、下がm4/3のPen miniの写真なんであります。
加齢で視力が落ちまくっている私には、ほとんど違いがわかりません・・・^^;
つまり、40㎜域でも、明るいm4/3用20mm/F1.7は、暗い135判用標準ズームとほぼ同じボケを撮れるってことなんですね。

なお、このNIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G、手振れ補正があるし、重厚長大な標準ズームの中では小型軽量、それなりに人気があります。
でも・・・立派なガタイの135判フルフレーム機なのに、ちゃらいm4/3のPen miniにボケで負けるって言うの、悔しいですよねえ。^^;

さらに、このズーム、盛大に歪曲します・・・特に広角端24㎜の樽型歪曲、ファインダーを覗くと、思わずのけ反るほどのタルタルです。
ポストプロセスで歪曲補正をかけることを前提としているんでしょうが、それにしてもかなり大きな歪曲が残ります。
私はとてもその歪曲に耐えられませんでした。
解像度とか色収差などは、六つ切りぐらいのプリントでもほとんど気にならないし、2Lになるとさらに目立ちません。
でも歪曲収差は、L版プリントでもわかるし、このブログの720x480サイズの写真でも目立ちます。

こんな理由で私はこのキットレンズをスルーし、Tamron SP AF 28-75mm/F2.8 (Model A09II)を標準ズームとして購入しました。
広角端28㎜始まりですから、設計に無理がなく歪曲が少なめですし、F2.8通しで有効径が大きくて135判らしい大きなボケが撮れます。
それに・・・何と言っても安く、費用対効果抜群です♪

セールスを重視すると、メーカーはどうしても初心者にアピールしやすい高倍率なズーム比のレンズを作りがちになります。
「24㎜から85㎜までカバーします」と言うと、「28㎜から75㎜までカバーします」と言うより訴求力が大きいのでしょうね。
私の場合は、標準ズームに要求する広角は28㎜までで充分です・・・また75㎜と85㎜の差は、一歩前に出るか、トリミングで対応可能です。

大きなズーム比は、一見便利に思えますが、画質とトレードオフの関係になってしまうことが多いのです。
このクラスのNikon Fマウント用のズームレンズのDxO Markでの比較は下記のようになっております・・・

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いかがでしょうか・・・Tamron A09II、画質も大健闘なんであります・・・まさしく「安い」「軽い」「キレイに写る」と、某牛丼屋みたいなレンズです♪

「手振れ補正がついていないから・・・」って言われますが、それ、問題なんでしょうか。
ニコンでは、レンズシフト方式の手振れ補正システムを採用していますが、これ、補正用レンズや駆動系を組み込むことでレンズが大きく重くなるし、画質も若干劣化するんであります。

そのため、手振れ補正が云々を言う前に、そもそも手振れを起こしにくいカメラのホールディングを体得するべきなんです。
基本的に、「1/焦点距離」・・・つまり50㎜レンズなら1/50、28㎜なら1/28、200㎜なら1/200までってことですが・・・このシャッター速度ぐらいまでなら、誰でも練習すれば手振れを起こさずに撮影する技術は体得できます。
知合いの女性カメラマンは、D700に手振れ補正のないナノクリ24-70mm・F2.8で、暗所でもビシーッとした写真撮ってますよ。
要は「練習するか、しないか」だけです・・・男なら、手振れ補正なんてチャラいものに頼っちゃいけません。^^v
(と言いながら、Olympus Pen miniのボディ内蔵式手振れ補正機能にはずいぶん助けられてますが。^^;)

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冬のお手軽撮影セットです・・・なりは小っちゃくても大きな仕事をしてくれる機材たちですね。
Rolleiflex Automat MXは、軽量コンパクトなのにちゃんと56mmx56mmの中判写真が撮れます。
マイクロフォーサーズののPen mini、明るい45㎜/F1.820㎜/F1.7、暗い標準ズームのついた135判機より大きなボケを撮れます♪
さらに超広角ズーム9-18mm/F4-5.6と、入射光式露出計のスタデラを加えても、小さなカメラバッグ、Billingham Hadley (S)に入ります。

さて、マイクロフォーサーズのシステムと135判フルフレーム機、購入費用を比べてみましょうか。
例えば、Nikon D610 / AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR のセットは、某価格サイトの最安店で¥203,571です。

OLYMPUS PEN mini E-PM2 ダブルズームキットは、同じく最安店で35,376円です。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 は¥24,740、LUMIX G 20mm/F1.7は¥32,800、私の使っているEVFのVF-2は¥19,285。
合計で112,201円です・・・半額プラスアルファですね。

さて、重量も計算してみましょう。
Nikon D610は850g、AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VRは、465g、合計1,315gです。
で、上記のm4/3システムの重さはと言うと・・・
Pen mini E-PM2は269g、12-42mm/F3.5-5.6標準ズームは113g、40-150mm/f4-5.6望遠ズームは190g、45mm/f1.8は116g、20mm/F1.7は100g、EVFのVF-2は32g、〆て820g・・・D610本体より軽いです。
私は望遠ズームを使わないので、さらに軽量な組み合わせになります。

結論はこんな感じかな・・・
まず、135判フルフレーム機を使うなら、明るいレンズを使わないとボケ量で妙味が出ません・・・暗い標準ズームなんてやめた方が良いです。
明るい単焦点レンズの方がずっと費用対効果が高いです。
例えばAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G、2万円以下で買えますが、侮りがたい光学性能をもった標準レンズです。
50mmと言う画角は、ある意味、万能に使える画角で、寄ってぼかせば望遠レンズ風味、引いて絞れば広角レンズ風味で撮れます。

また、ボケがあまり必要でなく、ISO3200以上が必要な暗所で撮らないのであれば、m4/3のシステムでも十分です。
事実、プロでもm4/3のOM-D E-M1を仕事用に使っている人も多いです。

APS-Cと言う選択肢もあるとは思いますが、ボケを考えたときにAPS-Cって中途半端、私にとってはm4/3とあまり変わらない印象です。
フォーマット別のボケ比較については、下記のエントリでも書いておりますので、ご参考になさってください。
●2014年8月29日 マイクロフォーサーズとフルサイズのステキな関係
●2014年9月6日 μ4/3、APS-C、135判フルサイズ・・・アフリカの対決
●2014年9月26日 μ4/3、APS-C、135判フルサイズのボケ比較・・・初秋の追加実験

描写性能以外の分野でも、135判フルフレーム機を使うか、m4/3を使うかは、状況次第でしょうね。
動体を撮るのであれば、135判フルフレーム機のほうがm4/3機より動体追随能力は高いですし、暗所で動体を撮るならさらに差が開きます。
また、酷寒酷暑など厳しい環境で使うことを考えるなら、防塵防滴のプロ仕様の135判フルフレーム機の方が耐久性が高いと思います。

ただし・・・135判は画質のポテンシャルは確かに高いですが、機材が重厚長大になり、フットワークに問題が出て来ます。
軽快なフットワークで撮影をしたいのであれば、マイクロフォーサーズのシステム、お勧めです・・・画質も悪くないです。
明るい単焦点レンズを選べば、マイクロフォーサーズでも、フルサイズの夢は見られるんであります♪

愛知県みよし市三好ヶ丘にて
Olympus Pen mini E-PM2 (1~3, 5枚目)
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 (1~3枚目)
Lumix G 20mm/F1.8 ASPH (5枚目)
Nikon D600 (4、6枚目)
Nikon AF-S Nikkor 85mm/F1.8G (4枚目)
Tamron SP AF 28-75mm/F2.8 (Model A09II, 6枚目)



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by blackfacesheep | 2014-01-28 06:00 | Hardware
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