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2014年12月6日 ブラウンシュバイクから来たお達者三兄弟
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メイプルや楓の落葉で埋まる我家の庭に佇む二眼レフ・・・銘板を見ると、Rolleicordとありますね。
そう、これはドイツのローライ(Rollei-Werke Franke & Heidecke GmbH )が製作した二眼レフで、Rolleicord V型なんであります。

ローライは、フォクトレンダーを退社したパウル・フランケとラインホルト・ハイデッケによって創業されたカメラ・メーカーです。
1920年にドイツのニーダーザクセン州ブラウンシュバイクの土地で誕生して以来、紆余曲折はありながらも、いまだに存在しております。
その主力製品である二眼レフのRolleiflexシリーズは1929年に誕生しましたが、驚くべし、2014年の今もなお、新品のRolleiflex 2.8FXが販売されているんであります。

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このRolleicord、Rolleiflexの弟分にあたるカメラで、Rolleiflexに比べてよりシンプルな造作のディフュージョン・ブランドです。
とは言うものの、Rolleiの看板を背負っているので、そんじょそこらの廉価版とはわけがちがいます。

これで、私のRolleiブランドのカメラが3台目となりました。
遠く離れたドイツのブラウンシュバイクから、縁あってこの極東の地にやってきた兄弟たちです。

左端が長男のRolleiflex Automat MX、真ん中が次男のRolleiflex 2.8C、そして右端が今回やって来た三男のRolleicord Vであります。
正面から見てお分かりの通り、Rolleiflexの2台は距離調整は左手側に付いており、クランク巻き上げは右側です・・・いわゆるローライ持ちです。
しかし、Rolleicord Vはフィルム巻き上げも距離調整ダイヤルも、右手側に来ています。
また、Rolleiflexの特徴的なシャッター速度・絞り調整用のダイヤルも、Rolleicordにはありません。

b0134829_17261744.jpgそれではこのブラウンシュバイクから来た三兄弟、順番にその特徴をご紹介しましょう。

まずは、長男のRolleiflex Automat MXです。
Rolleiでの形式番号はK4Aです。

長い間、今年還暦を迎えたと思っていたのですが、シリアルナンバーから類推すると、1952年3月ごろの製造と思われます。

我家に来たブラウンシュバイク3兄弟の中では最年長で、御年62歳ですね。

このAutomat MX、私が二眼レフにはまるきっかけを作ってくれた名機です。

その使いやすさゆえに銀塩フィルム写真ブログでの登場回数はすこぶる多く、2014年11月現在で500回以上を越えて、もっとも稼働率の高い銀塩フィルムカメラとなっています。

小型軽量なのに、ちゃんと6x6の中判写真が撮れるところが妙味なんですね。

レンズはZeiss-Opton Tessar 75mm/F3.5が付いています。

その描写はまさしく「鷹の目Tessar」、絞開放から凄みのあるシャープさです。^^

また、75mmのF3.5ですからボケの大きさには限りがありますが、描写そのものは素直なボケで、嫌味がありません。

このRolleiflex Automat MXについて、もっと詳しく知りたい方は、2013年9月1日にアップした「働き者のゲルマン魂」と言うエントリをご覧ください。



b0134829_17181520.jpg次男のRolleiflex 2.8Cです。
形式番号はK7Cです。

この個体もシリアルナンバーから類推すると、1952年12月ぐらいの製造と思われますので、もうすぐ62歳ですね。

最近、私の戦列に加わったばかりのカメラですが、すでに私の二眼レフカメラ群のエースとして君臨しております。

その理由は、搭載レンズのSchneider-Kreuznach Xenotar 80mm/F2.8にあり・・・大口径ゆえにすこぶるボケが美しいです。

絞っても絞羽根が10枚もあるので、カクカクしたボケにならず、マイルドな形を保っています。

Rolleiのカメラ、日本ではCarl Zeissのレンズが人気で、特に2.8系だとPlanar 80mm/F2.8が神がかり的人気です。

片やSchneider-Kreuznachのレンズは,、欧米で人気が高いようです。

よりしっとりとした線の細い描写が特徴ですが、絞を開ければ十分官能的で、クールに燃える炎のような描写をすると思います。

特にこのXenotar 80mm/F2.8は優秀で、その昔、「クセノタール・ショック」という事件があったそうです。
開けても絞っても、その描画性能は当時の他のレンズとは一線を画していたようです。

このRolleiflex 2.8Cについて、もっと詳しく知りたい方は、2014年10月25日のエントリ、「ぼける真四角写真の誘惑」をご覧ください。



b0134829_22395573.jpg今回やって来た三男坊、Rolleicord Vです。
形式番号はK3Cです。

シリアルナンバーから類推すると、1956年の8月ごろの製造です・・・おお、昭和31年の申年生まれ、私と同級生なんであります。

eBayで$135入れておいたら落ちてしまいました。
Rolleiflex 2.8系は高値安定ですが、75㎜/F3.5系は本当に安くなりましたね。

このV型は、右側に距離計ノブが付いている最後のRolleicord旧タイプで、Va以降はRolleiflexのように左側に移動してしまいました。

Rolleicordと言えば、右手だけで操作のできる軽快さが身上、なのでV型を狙っていたんであります。

75mm/*F3.5ならRolleiflex Automat MXがあるではないか、なぜ新たにRolleicordを・・・
それは、Rolleiflex 2.8Cに付いてきたSchneider Kreuznach Xenotar 80mm/F2.8の描写に惚れてしまったからですね。

Zeiss-Opton Tessarほどの馬力はありませんが、繊細でトーンの豊かな描写をするSchneider Kreuznachのレンズで、75mmも欲しくなってしまったのであります。

残念ながらこのV型からは、絞羽根が五枚になってしまいました。
一眼レフのような自動絞なら、瞬時にすべての絞を開けたり閉めたりしなければならないので、多枚羽根絞が難しいのはわかります。
でも、二眼レフには独立したビューレンズがあるから無関係のはず・・・なんで絞羽根を少なくするのか、よくわかりません・・・あ、コストダウンってことか。^^;


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これが私を虜にしたSchneider Kreuznach Xenar 75mm f/3.5であります。
何と言っても、その「しゅないだー・くろいつなっは・・・」と言う、とってもゲルマンっぽい名前の響きが良いんであります。
いかにも「ドイツの科学力は世界一ぃ♪」って雰囲気なんであります♪

冗談はさておき、Xenar 75mm/F3.5の描写は素敵です。
絞を開けば柔らかく、絞ったときには兄貴分のXenotar 80mm/F2.8よりもシャープかもしれません。
さらに、シャープと言ってもTessarのような豪快なシャープさではなく、繊細なシャープさなんであります。

また、Rolleiflexと違って、Rolleicordのシャッターはセルフコッキングではありません。
テイクレンズの下についているレバーを、この写真の左側に引っ張ってやるとシャッターがチャージされます。
シャッターが切る際には、この写真の右側に押してやります・・・シャッターボタンじゃなくて、シャッターレバーなんですね。
なお、その右についている垂直の穴は、ケーブルレリーズを突っ込むソケットです。


b0134829_22423059.jpgRolleiflex同様、Rolleicord Vも、スポーツファインダーも装備しております。

でも、Rolleiflexのように、スポーツファインダーを覗きながらピント調整ができるわけではありません。

ただシンプルな枠が開いているだけなんであります。

また背面には、Rolleiの伝統通り、簡易露出表が付いております。

ただ、このRolleicord Vからはライトバリュー機になったために、それまでの絞・シャッター速度の組合せではなく、LV数値が描かれております。

フィルム感度が面妖です・・・ASA12, ASA50, ASA200, ASA800となっております。

常用感度のASA100がありません。

類推しろ、ってことなんでしょうか。^^;

ま、私のようにISO100のフィルムをEI50で使うことが多い人には、これで無問題ですけどね。

晴天の日の戸外ならLV13、絞がF11でシャッター速度が1/60です。

今の感覚だと、1段オーバーかな、と思います。
ISO50で晴天の戸外なら、SUNNY16のルールに則れば、F16でSSは1/50ですからね。

当時のフィルムは実効感度が低かったのかもしれませんし、銀塩フィルム機の場合は露出オーバーの方が紙焼きしやすい濃度のネガが得られますから、確信犯的に一段オーバーになるようにしてあるのかもしれません。


b0134829_17253519.jpgこちらがRolleicord VのLV連動構造です。

絞りの設定は、ご覧のようにレンズ左手側のレバーで行います。
シャッター速度は、ここには写っていないレンズ右手側にあるレバーで行います。
"f"と書かれた小窓に表示されるのが、絞り値、F値窓の上の数字がLV(ライトバリュー)値です。
Rolleicord Vのライトバリューシステムは、下記のようにして使います。

例えばKodak T-MAXをEI50に設定し、LV14のどピーカンな戸外でF11に絞ってベタピンで撮る、と仮定しましょう。
まず絞値をF11にセットします。
その後、絞値レバーを左手の親指で押さえながら、右手でシャッター速度ダイヤルを動かし、LV三角マークをLV14を指すように調整します。
そして右手側のシャッター速度の小窓を見ると・・・おお、"125"の文字が見えます・・・SSが1/125にセットされた、ってことですね。

この後、シャッタースピードレバーを単独で動かすと、絞りレバーが連動して動きます。
SSを1/250にすれば絞は自動的にF8になるし、SSを1/500にすれば絞は自動的にF5.6になります。

このLV機構、あまりカメラに詳しくない人にはそれなりに便利なものだったと思いますが、私のような短気な人には向かないシステムです。
シャッター速度を動かすと絞が連動するのがうざいんですよね。^^;

でも、Rolleicord VのLVシステムはとてもよくできていて、直感的に操作しても無問題だし、LVシステムの解除もとても簡単、これならたまには使ってみようかな、と思えるほどの完成度です♪



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Rolleicord Vは、巻上ノブが右側にある最後の旧型Rolleicordですが、やはりRolleicord IVに比べるとかなりモダンです。
ビューレンズの右横に見える赤丸は、「多重露光OK」と言う意味です・・・その下のレバーでシングル露出と多重露出を切り替えます。
フィルムを装填していないときは、この赤丸が出ていれば空シャッターが切れます。
また左横はフラッシュのM,X接点切り替えと、Vはセルフタイマーですね。



b0134829_220714.jpgブラウンシュバイク三兄弟の末弟、Rolleicord V、兄たちの付属品がそのまま使えます。

ご覧のように、ストラップはRolleiflex 2.8Cに付属のものが使えます。
フードやレンズキャップは、BAY 1規格のAutomat MXのものが使えます。
弟は兄たちのお下がりばかりで、おニューを使わせてもらえないという悲劇、カメラの世界でもあるんですねえ。^^;

このRolleicord V、兄たちに比べるととても軽量コンパクトです。
Rolleiflex 2.8Cは1,140g、Rolleiflex Automat MXは970gあるのに、Rolleicord Vは830gです。
そして、右手一本でフィルム巻き上げと距離合わせができてしまいます。
シャッターも、セルフコッキングではないものの、シャーチャージ・リリースも右手一本で可能です。

この機動性・取り回しの良さ、被写界深度の深い75mm/F3.5のシャープなレンズ・・・
これらの条件ゆえに、速射性を重んじるジャーナリズムの世界ではRolleicordの旧タイプが好まれたんだそうです。

ブラウンシュバイクから来た三兄弟、平均年齢は60.3歳ですが、みんな現役のお達者クラブです。
ポートレートや大ボケが必要なときは二男のRolleiflex 2.8Cを持出すでしょうし、気軽な撮影の際にはRolleicord VやRolleiflex Automat MXを持出すでしょう。

このお達者クラブ三人兄弟、私が今使っているデジタルカメラたちよりははるかに長持ちするでしょうね。
ひょっとするとフォトグラファーの私より長生きするかもしれません。^^;



愛知県みよし市三好ヶ丘にて
Olympus Pen mini E-PM2
M.ZUIKO DIGITAL 45mm/F1.8



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by blackfacesheep | 2014-12-06 05:00 | Hardware
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