2013年9月25日 天命を反転させる場所
2013年 09月 25日
坂道に立ち尽くす人物・・・こんな風景がいたるところで見られる場所に行ってきました・・・養老天命反転地なんであります。
先日、写真塾で関ヶ原ウォーランドに行った後、塾の仲間のAさんがすぐ近くにあるここに寄る、と言っていたのでご一緒させていただきました。
ここは、愛知県出身で国際的に活躍したアーティスト、荒川修作とそのパートナーであるマドリン・ギンズによる構想を具現化した公園施設です。
彼らは、「死」を前提とした消極的な生き方を改め古い常識を覆すことが必要だとし、その死へ至る「宿命(天命)」を反転させろ、と主張します。
つまりここは、彼らの作品の中を回遊することで、人間の常識的な感覚の不安定さや危うさを認識するためのモダンアートなんであります。
さて、これは養老天命反転地オフィスの内部です・・・オフィスと言っても、迷路なんですよね。^^;
「極限で似るものの家」と呼ばれる建築物です。
屋根が岐阜県の形をしており、天井部分に目を向けると、そこには地上部分をそのまま反転した世界が広がっています。
この家の内部は迷路になっており、不思議な世界が広がっています。
テ-ブルやソファ、バスタブ、ベッドなどがいたる所に取り付けられ、それが壁によって分断されてるというシュールさなんであります。
「精緻の棟」と呼ばれる家が、「楕円形のフィールド」へ向かう斜面の途中に建っています。
ここもメインパビリオン「極限で似るものの家」の一部と同じ構造になっており、人間の平衡感覚を麻痺させる構造になっています。
「不死門」と呼ばれるモニュメントにいた猫ちゃんです。
背景の岩山は「昆虫山脈」と言う名前で、シュールなことに頂上には井戸とポンプがあります。
「楕円形のフィールド」を眺めたところです・・・水平な場所が一か所もなく、急坂だらけで不安定極まりない場所です。
実際、事故も多いらしく開園当初はケガ人が相次いだそうですが、作者の荒川氏は「案外少ないな!」と平然としていたらしい・・・です。^^;
荒川氏、さすが戦後の前衛芸術を牽引したアーティストらしく、数々の名言・迷言でも有名です・・・下記にそのいくつかをご紹介しましょう。
「人間はいままでひとりだって死んじゃいないんだ。消えた人はいるけど」
「深呼吸してみよう。本当の深呼吸してみよう。気絶しちゃうぞ。しかも口なんて使わないんだ」
「朝起きるときビッグバンの音を聞こうとしてみてほしいんだ」
「わたしは、って言ったときに、何千ものわたしが落ちてくるんだよ」
「人と人が愛するとか言うな。そんなものほっとけば出来る。私、空気と結婚するんです、とかそれぐらい言えよ。このあたりと結婚するんです、このあたりか? いえ、このあたりです、触らせませんよ、とか言えよ。触ってやるから」
「原子、分子、量子、部分、部分、部分、部分。そんなこと調べたって生命なんて分からないんだ。だから生命科学の偉い人が、泣きながら、ぼくに言ったんだ。「たばねて下さい」って!」
「生きるなんて考えるな。生かされてるんだから。ぼくたちと自動車、違うのは、エンジンかけてないのに、かかっちゃってるだろ、それを考えろよ」
「観察なんて時代は終わったんだ。構築するんだ」
この養老天命反転地の使用法が荒川とギンズによって作られておりますが、それもぶっとんでます。
荒川修作氏、残念なことに2010年に他界してしまいましたが、実にスケールの大きなアーティストでしたねえ。
「白昼の混乱地帯」と呼ばれる地域で、いくつものソファと流し台が置かれているシュールな空間です。
カリンの実も、こういうシュールな場所で見ると、アートに見えてきますねえ。^^;
ここ、結構カップルが多く訪れておりました。
不安定な場所なので、手に手を取り合い、結果として結束が高まりますねえ。^^
こちらは堪能して駐車場に戻るカップルの姿ですね。
映画や食事よりはるかに強烈な共通体験ができるわけですから、意外にデート向きなのかも。
父親とスキンシップをとるお嬢さんです。
こういう危険な場所にやってくると、それはもう一種の超常体験ですから、カップルだけでなく、家族の絆も高まるようです。
この養老天命反転地、実にシュールな体験ができて楽しい場所でした・・・実に荒川修作らしいぶっ飛んだ場所でした♪
岐阜県養老郡養老町高林1298-2 養老公園 養老天命反転地にて
Nikon D600
Nikon Ai AF Nikkor 20mm f/2.8D