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Black Face Sheep's Photolog

黒顔羊のデジタルフォトギャラリー#1です。光蜥蜴(ヒカリトカゲ=光と影)や錆びたもの・滅びゆくものが大好きです。 自分の魂の目に感光したものは何でも撮ります。


by blackfacesheep

2014年4月6日 異形、異才な二眼レフ

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久しぶりに新機材が我家にやってきました・・・と言っても、1968年製の中古二眼レフなんであります。
中判カメラの名門マミヤで製造されたMamiya C220 Professionalを、某オークションサイトで落札しました・・・5,050円なり。^^
Mamiyaのカメラは昔から大好きで、Mamiya 645 ProMamiya RB67 Professional SMamiya-6 Type IV Bと3台使ってきました。
実を言うとこのC220も、かつて双子の弟のXylocopalが所有していて、私も時々借りてました・・・今回、久しぶりに使ってみたくなったのです。

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このMamiya C220 Professional、私のフィルム機で一番稼働率の高いRolleiflex Automat MXに比べると、かなり大柄なボディです。
Rolleiflex系は軽いです、Automat MXで960g、2.8Fで1,220gです・・・でも、このC220は1,515gもあります。
洗練されたRolleiflexのデザインや操作感に比べると、C220はとても泥臭い・・・優雅さには縁のない実用に徹したお仕事機であります。^^;

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例えば絞値とシャッター速度の確認方法ですが、Rolleiflexはレンズの上に直読窓があり、フレーミングしながら確認できるんであります。
C220は特別な窓など設けず、あっけらかんとした赤点ひとつだけ・・・これが絞とシャッター速度の共用指標になっています。
ま、これでも首を傾ければ直読はできるんですけどね・・・ちなみに、今の設定はF11で1/250秒です。
Rolleiflexの洗練された造作に比べると、なんともかんとも事務的と言うか即物的と言うか・・・^^;
なお、M,Xの接点切り替えの隣にあるVは、セルフタイマーモードの設定位地です。

また、シャッターチャージも手動です・・・絞F4の右、SS500の下に見えるチャージレバーを撮影のたびに下に押し下げてシャッターコックします。
それに比べると、巻き上げクランク反転でシャッターがセルフコッキングされるRolleiflexって、スマートなんであります♪

しかし、C220には他機にはないユニークな特徴がたくさんあります・・・変態ぶり、と言ったほうがいいかな、うひひひひ。^^;
たとえば、上の写真の右端に"LOCK"と出ている指標がありますね・・・これを反時計方向に回して"UNLOCK"と言う指標を出してやると・・・^^;

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はい、レンズが外せます・・・Mamiya Cシリーズって、他に類を見ないレンズ交換式の二眼レフなんであります♪
トーションバーのワイヤーを外してやると、ビューレンズとテイクレンズが土台ごと、ゴロッと外れてくるんであります。^^;
交換レンズは、55mmの広角から250㎜の望遠まで、8種類がラインアップされていました。(あ、65㎜/F3.5も来ましたよ。^^↓)

マミヤのレンズ交換式二眼レフは、1957年に発売された"Mamiya Flex C Professional"が元祖です。
その後、高級機のC3系列と普及機のC2系列に別れ、C3/C2、C33/C22、C330/C220、C330f/C220f、C330sと発展していきました。
C330 Professionalはシャッターがセルフコッキングで前面シャッターボタンもありますが、105mm/F3.5 DS付で1,700gと重いです。
私は軟弱なので、重たい「全部入りのC330」より、軽量な廉価版のC220 Professionalを選びました・・・どのみち重いですから、目くそ鼻くその世界かもしれませんが。^^;

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このC220には、Mamiya-Sekor 105mm f3.5 DSが付属してきました・・・このレンズが付いていたからこそ、落札したようなものです。
DSの付かない105mm/F3.5は3群4枚のテッサータイプでしたが、DSは3群5枚構成のフォクトレンダー・ヘリアー・タイプに変更されました。
トリプレットの前群と後群を色消しレンズで貼り合わせたもので、豊麗な描写で有名でした・・・でも貼り合わせ面の多さゆえに高価でした。
古風なレンズ構成ゆえに、被写体が浮き上がるような立体感とボケの美しさがもたらされる・・・いまだに海外で人気のようです♪

また、有効径は105÷3.5=30となり、Rolleiflex 2.8系(80mm/F2.8)の有効径、80÷2.8=28.6を上回ります・・・
つまり、Rolleiflex 2.8系よりボケ量が多く、中判らしく「浮かせる写真」が撮りやすいんであります♪
私のRolleiflex Automat MXのTessarは75mm/F3.5ですから、有効径は21.4しかありません・・・ボケにくいです。^^;

なお普通の二眼レフは、絞はテイクレンズにしか付いていません・・・でも、この105㎜はビューレンズにも絞が付いているんであります。
つまり、ビューレンズでも実像で被写界深度がチェックできるという変態ぶりなんであります。^^;

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Mamiya Cシリーズの特徴の一つに、二眼レフとしては稀有な近接撮影能力があります・・・蛇腹が付いているので寄れるんですね♪
この変態的なユニークな蛇腹によるマクロ撮影能力は、その後のマミヤの中判一眼レフのRB67系、RZ67系にも継承されました。
蛇腹構造は、ヘリコイドが要らないのでレンズが軽量シンプルになるし、内面反射が少なく逆光撮影にも有利なんであります。

ただ、蛇腹にも問題があります・・・劣化すると穴が開いて光が漏れるときがあるのですね。
私がかつて使っていたKMZ Moskva 5Mamiya-6 Type IV Bは、蛇腹に起因する漏光でやむなく手放しました。
でも、マミヤCシリーズの蛇腹は別物です。
テイクレンズ側の蛇腹は内外二重構造で厳重な漏光対策が施されており、外側の蛇腹が少々破れても大丈夫なんだとか・・・
だてに"Professional"をうたっているわけではないようです。^^

この常軌を逸した近接撮影能力のために、接写時の露出倍数を知るための指標が蛇腹に付いています・・・55㎜の最接近時には4倍です。^^;

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上のベアさんと同じ大きさの子をファインダーに捉えたところです・・・最短撮影距離、58㎝だそうですが、もっと寄れる気がします。^^;
ちなみに、この状況でシャッターを切ると、ベアさんの頭がちょん切れます・・・パララックスと言う奴ですね。
首が切れないようにするために、パララックス警戒線が設けられております・・・ファインダーの中の二本の横線ですね。
露出倍数が1.5を越えると上の線より下しか写りません・・・2を超えると二本目の線より下しか写りません・・・3を超えると真ん中より下です。^^;

Rolleiflexは1メートルまでしか寄れませんが、パララックスは自動補正です・・・撮影範囲外にマスクがかかるんです、洗練されてます♪
ただしファインダーは、C220のフレネルレンズ付の方がはるかに見やすいです・・・Rolleiflex Automat MXは単なるすりガラスです。^^;

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Mamiya Cシリーズのもう一つのユニークな点は、フィルム給装機構がストレートなので、フィルムの平面性保持に優れているところです。
Rolleiflexなど多くの二眼レフは、サイズをコンパクトにするためL字型フィルム給装機構を採用しています。
L字型フィルム給装機構の欠点は、撮影途中で数日放置したりすると、L字に屈折した部分のフィルムに巻癖が付いてしまい、平面性が出ないときがある・・・ってことだそうです。
フィルムの120と220は、手前の裏蓋に付いている圧版を切り替えて使います・・・私は120しか使いませんから関係ないですが。^^;

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C220の右側です・・・これも無愛想、実用一本槍って表情ですね。^^;
巻き上げノブは一応クランクも付いており、一回転で自動巻き止めです・・・でもRolleiflexのそれのように優雅な造形ではないですね。^^;
その右側がフィルムカウンターで、上の指標を切り替えることで120の12枚と220の24枚、それぞれに対応可能です。
また、その下に”SINGLE"と出ている指標のノブを、時計回りに回して”MULTI"を出してやると、多重露光が可能になります。

右端の金属枠に見えている黒いくさび型のパーツがシャッターボタンで、これを押し下げることで、連結された金具がレンズから生えたシャッターを押し、シャッターが切れます。
その上を見るとネジ穴がありまして、ここにレリーズやセルフタイマーをねじ込むと、芯棒がシャッター金具を押す仕掛けなんであります。
めっちゃ泥臭いです・・・でも簡単確実な方法なんであります。^^;
このあたりの細かい取り扱い方は、ネット上のマニュアルに載っているんであります♪

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とりあえず、ブツが埼玉県より到着してすぐに試写してみました・・・夕方5時からの1時間でKodak T-MAX 100を一本撮ってみました。
夕食後、ただちに現像してみましたが、12カットとも特に問題なく、意図通りに写っておりました♪
蛇腹の劣化によるピンホールやモルトの溶解にによる漏光を懸念しましたが、とりあえず無問題のようで安心しました。^^v

二眼レフカメラを考えたとき、正統派のRolleiflexはプロ・アマとも人気抜群ですが、異端派のMamiya Cシリーズはイマイチな人気です。
でも、見栄えは悪くても使いやすくよく写るカメラとして、Mamiya Cシリーズを愛用したプロ写真家もいました。
有名なところでは、人物写真家のダイアン・アーバス(Diane Arbus)がいます・・・私、彼女の作品と言葉には大きな衝撃を受けました。

"I really believe there are things nobody would see if I didn't photograph them."
「私は確信している・・・自分が撮らなかったら、誰も気がつかない世界が存在することを。」

"When you grow up your mother says, 'Wear rubbers or you'll catch cold.' When you become an adult you discover that you have the right not to wear rubbers and to see if you catch cold or not."
「物心がつくようになると、母親は子供に「長靴を履きなさい、さもないと風邪をひくわよ」と言う。でも、大人になったとき、ふと気がつく。長靴を履かないことの選択権、それで本当に風邪をひくのかどうか確認する権利も、我々にはあるのだと。」

いつの日かダイアン・アーバスのように、既成概念から自由でオリジナリティあふれる魂の写真を撮ってみたい・・・そう思っています。

愛知県みよし市三好ヶ丘にて
Olympus Pen mini E-PM2
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8



昨日、仕事から帰宅したら、某オークションにて落札した65㎜/F3.5も到着しておりました。
早速チェックしてみましたが、シャッター速度も一応出ているようだし、絞もスムーズです。
レンズは、超綺麗と言うわけではないですが、目視チェックでは問題なさそうです・・・本体に実装してみたら、恐ろしいほど寄れて驚きました。^^;
本日、試写してみる予定ですが、どんな写りになるか、楽しみなんであります♪
ちなみに今、TMXをEI50で4枚ほど撮影したところです・・・65mmに付け替えて残り8枚を撮ってから現像であります。
今回の現像はTMX Developerの1:9希釈、摂氏20度15分で行ってみるかな~。^^

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by blackfacesheep | 2014-04-06 06:00 | Hardware