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Black Face Sheep's Photolog

黒顔羊のデジタルフォトギャラリー#1です。光蜥蜴(ヒカリトカゲ=光と影)や錆びたもの・滅びゆくものが大好きです。 自分の魂の目に感光したものは何でも撮ります。


by blackfacesheep

2008年7月17日 41回目の命日

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7月17日は、ジョン・コルトレーンの41回目の命日です。
ジョン・コルトレーン(John Coltrane,1926-1967)は、モダン・ジャズのテナー・サックス、ソプラノ・サックス奏者で、JAZZジャイアントの一人です。
1950年代後半にマイルス・デイヴィス・クインテットのテナー・サックスに抜擢されて以来、1967年7月17日に亡くなるまで、ジャズの最前線を切り開いてきた開拓者です。
1960年代以降今日に至るまで、モダンジャズのテナーサックスおよびソプラノ・サックス奏者では、コルトレーンの影響下に無いものはいないのではないでしょうか。

今ではホラしか吹かない私ですが、かつてはテナー・サックスを吹いていた時代がありました。
高校時代から大学1年生まではアルト・サックスを吹いていたのですが、大学2年生からテナー・サックスに転向しました。コルトレーンの影響が大きかったのです。コルトレーンのようにモーダルなJAZZをやろうとすると、アルトでは力負けしてしまう、とアホな思い込みをしてしまったのでした。

コルトレーンのサウンドはそれほど聴きやすいものではありません。特にインパルス時代のものは重くて黒いです。だからJAZZを始めて聴く人にはおすすめしません。インパルスのコルトレーンは、「JAZZって暗いよなー」とか、「JAZZって難しいよなー」って思われてしまう典型的なサウンドだと思います。

今でも暑くなってくると、コルトレーンを無性に聴きたくなります。暑熱の中で、あの緊張感を伴った黒くて重い音のうねりに身をゆだねるのは、ほとんど苦行に近いところがありますが、聴き終わった後にえもいわれぬカタルシスをもたらしてくれるのも事実です。

特にライヴものはすごいです。手前の3枚、"Live at Birdland"、"Impressions"、"Live at the Village Vanguard"あたりを大音量で聴くと、とても疲れる反面、なぜか心地よいのです。^^だから体力が落ちているときは、決して聴こうとは思いません。
エリック・ドルフィーも入っていますが、さすがのドルフィーもコルトレーンの前では借りてきた猫のようです。あのバスクラの前衛的なトーンがコルトレーンの重量級テナー・サウンド、ソプラノ・サウンドに完全に負けています。ドルフィーはやっぱり自分のバンドで演奏しているときのほうがずっとかっこいいです。^^

真ん中にある"Crescent"は、私がインパルスのコルトレーンで一番好きなアルバムです。これは名作"Ballads"にも通じる静謐な美しさがあります。2曲目の"Wise One"は、Bill Evans "Explorations"のIsraelと双璧をなすJAZZのリリシズムの代表作品だと思っています。
このアルバムを吹き込んだ後、世紀の名作と呼ばれる"A Love Supreme"「至上の愛」を吹き込みます。「至上の愛」、途中で「お経」みたいにコルトレーンが"A Love Supreme..."と歌っているのがなければ良いアルバムなんですが、あれが決定的に興ざめです。

"Crescent"の右上に見えるブルーのジャケットが、"Coltrane"というベタなタイトルのアルバムです。これにはマル・ウォルドロンが作曲した名曲、"Soul Eyes"が入っており、これが実にリリカルな素晴らしい演奏です。この曲は、スタン・ゲッツが亡くなる前の最終アルバム、”Bossas and Ballads: The Lost Sessions”でも取り上げられており、ゲッツとしても最高の演奏になっていると思います。

"Crescent"の上に見えるグリーンのジャケットは、名作"Balldads"です。インパルスのコルトレーンの中で最高の人気を誇るアルバムです。激しい作品が多いインパルスのコルトレーンですが、このアルバムはとても聴きやすいバラード集です。聴きやすいといっても、決して甘くはありません。ビターな大人の雰囲気のバラードです。これはJAZZ初心者にもぜひお勧めしたい一枚です。この"Balldads"のほかにも、インパルスには"John Coltrane & Johnny Hartman"というヴォーカルの入った渋いアルバムもあり、この中に入っている"My One And Only Love"も絶品です。

この写真の奥のほうに白っぽいジャケットがありますが、これはコルトレーンではなく、Steve Grossmanのアルバムです。グロスマンは白人のコルトレーン系サックス奏者の中では最強・最凶、私の若い頃のアイドルでした。
ドラムのElvin Jonesがリーダーとなった傑作、Live At The Lighthouseという2枚組のアルバムを聴いたとき、その凶暴なまでのブローにぶっとんでしまいました。「いってまっとるな、こいつ。絶対スリク(Drug)やっとるぞ。しらふではあんな風には絶対に吹けん!」と思ったものです。
このアルバム、同じく白人コルトレーン系テナー・マンのデイヴ・リーブマンとツイン・サックスでフロントをやっているんですが、グロスマンが圧倒的に優勢勝ちです。リーダーのエルヴィンが、「グロスマンは闘士、リーブマンは教授」と言ったぐらい、グロスマンのテンションは高く、デイヴ・リーブマンがやがてテナーを吹かずにソプラノだけになってしまったのは、このときのトラウマが原因らしいです。(ソプラノでもグロスマンの方が上だと思いますが。^^;)

真ん中のモノクロのジャケットのが1973年に出たグロスマンの初リーダー作、"Some Shapes To Come"です。電化マイルス的な音ですが、グロスマンの吹きっぷりは狂気90%正気10%で、ものすごいです。JAZZ初心者は決して聴いてはいけません。JAZZが嫌いになります。また、マハヴィシュヌ・オーケストラにいたヤン・ハマーがムーグ・シンセでかっこいいソロをとってます。
左側の顔写真の付いているのが1977年のアルバム、"Born at the Same Time"です。こちらはアコースティック・バンドをバックに暴れまくってます。

グロスマン、最近は寄る年波でロリンズ・スタイルのバッパーになってきて、これはこれでよいんですが、昔のコルトレーン直系の狂気じみたブローぶりを知るものとしては、ちょっと寂しい限りです。

愛知県三好町にて
Pentax K200D
Tamron 17-50mm/F2.8
by blackfacesheep | 2008-07-17 02:11 | Jazz